わたしを離さないで / カズオ イシグロ
自他共に認める優秀な介護人キャシー・Hは、提供者と呼ばれる人々を世話している。キャシーが生まれ育った施設ヘールシャムの仲間も提供者だ。共に青春 の日々を送り、かたい絆で結ばれた親友のルースとトミーも彼女が介護した。キャシーは病室のベッドに座り、あるいは病院へ車を走らせながら、施設での奇 妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に極端に力をいれた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちの不思議な態度、そして、キャシーと愛する人々 がたどった数奇で皮肉な運命に……。彼女の回想はヘールシャムの驚くべき真実を明かしていく――英米で絶賛の嵐を巻き起こし、代表作『日の名残り』を凌駕する評されたイシグロ文学の最高到達点
出版社 / 著者からの内容紹介 より
少年少女の日常がひたすら淡々と描かれていく。
ラストまでこれといった大きなドラマも起きないため、読み終えた直後は「もう終わり?」と思わずぽかーんとしてしまったほど。
でも、読み終えてしばらく経つと、「何か」がじわじわと心に染み入ってくる。心が落ち着かない。
どうしてこんなことになってしまってるんだろう。
作中の彼らに問いかけたい気持ちがあるが、もしかしたらこれは自分たちにも当てはまることなんだろう。
心のさざ波がどうにも止まらない。
ふとこんな言葉を思い出した。
神よ、願わくば、
変えられぬものを受け入れる心の静けさと
変えられるものを変えていける勇気と
その違いを見極める知恵とを、授けたまえラインホールド・ニーバー(Reinhold Niebuhr 1892-1971) 「変革の祈り」
自分の場合、変えられないものなのに必死に変えようと情熱空回りしてたり、変えられるものなのに「どうせ無駄だ」と諦めることが多い。
変えられないものを受け入れることを「覚悟」と呼び、変えられるのに変えようとしないのを「あきらめ」と呼ぶのかもしれない。
(仏教的な語源の話また次回。)
この本を薦めるのは正直難しい。
どんな言葉を使ってもネタバレになってしまうと思う。
もしこの本を読むなら、どんな書評もあらすじも読まずに、何の先入観も無く読むべきだと思う。
ただ、何か大きなドラマを期待しているなら、あまり向かない。
同じテーマを扱っていて、問題提起がわかりやすく、かつスリリングな作品はたくさんあるので、そちらを読んだ方が良いと思う。
といっても、この本を読まないと、どういう本が同じジャンルなのかさっぱりわからないのが難点。
参った。

