
パフォーマンス・マネジメント―問題解決のための行動分析学
この本によると、「人間の行動に『意志の力』が関与するのはごく一部だ」とある。
朝起きられない、マナーを守れない、痩せられない、仕事ができない…、その全てにおいて原因は「意志」ではないと言い切っているのだ。
「誰が悪いか決めつけるじゃなくて、何ができるのか考えてみよう」
何か問題が発生した時、まずは意志の弱さを疑ってはいないだろうか。
毎日の決まり事を守れないのは、やる気が無いからだ。
時間にルーズなのは、気合いが足りないからだ。
仕事が失敗したのは、誰々のせいだからだ。
こうやって問題の原因を、誰かに押しつけたり、誰かの性質に求めたりする。
それではいけない。
この本では、「~のとき、~したら、~になった」という関係を行動分析学に基づいて説明している。
これをABC分析という。
A:先行条件
B:行動
C:結果
Aは行動を起こすための条件であり、Cは行動によって引き起こされた結果である。
Aの条件を整えてやれば、Bの行動に入りやすくなる。(パブロフの犬を想像すれば分かりやすい)
Cの結果が良ければ、Bの行動は強化(繰り返すようになること)され、悪ければ弱化(繰り返さなくなること)される。
AとCを工夫することによって、Bの行動を強化しようというのが狙いだ。
例えば、おしゃべりばかりしていて、書類の整理を全くやってくれない社員の事を考えてみよう。
結果に付いている矢印は、↑ならば良い結果、↓ならば悪い結果を表す。
A:仕事中
B:書類を整理する
C:仕事が増える(↓)、おしゃべりができない(↓)、給料が上がる(?)
「書類を整理する」という行動を行うと、二つも悪い結果が返ってくることになってしまう。
これでは行動が弱化されるのは当然の事だ。
ちなみに、行動の直後にすぐ表れない結果は、行動に影響を与えない。
「給料が上がる」という良い結果は、半年後の事かもしれないし、一年後の事かもしれない。
つまり、行動の直後に発生する結果ではないので、↑(良い結果)ではなく、?(不明)となる。
子供が悪いことをしたらすぐに叱りなさいという躾の基本は、この事から来ている。
結果は必ず行動の直後に発生しなければならない。
同様に様々な問題をこのABC分析に当て嵌めて見ると面白い。
問題「営業成績が伸び悩んでいる」
A:仕事中
B:優秀な営業活動
C:達成感(?)、昇進(?)、ボーナス(?)、会社の利益(?)、
残業(↓)、仕事が増えるとの社内の愚痴(↓)、嫌な顧客(↓)、うまく進まない失望(↓)
問題「スーパーの近辺に、違法駐車が多い」
A:急いでいる
B:違法駐車をする
C:早く楽に建物に入れる(↑)、注意される(?)
結果如何により、行動が強化されたり弱化されるという事がわかりやすく説明されていて面白い。
他にも恋愛、ダイエット、スポーツ、道徳、知識、人生などを分析した事例が載っており、読んでいて興味が尽きない。
もちろんそれぞれの分野でさらに細かい行動分析学があるため、この本で全て網羅しているわけではない。
それでも、今までの考え方を変える「入り口」としての役目は充分だと思う。
個人攻撃に陥っている限り、問題は解決しない。
この本ではそう繰り返している。
今後、何か問題にぶつかったら、このABCを頭に思い浮かべてみると面白いかもしれない。
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